1987年6月29日に民主化宣言が発せられるまでこの国は、戦前戦後は日本やアメリカの統治下におかれるわ、やっと朝鮮戦争が終わったと思ったら軍をバックに従えた独裁政権で自由を奪われるわ、散々な目にあってきました。
コスメだ美食だK-popだと浮かれている我々の世代は幸せだなぁ、と感謝しながらこれからもブルダックポックンミョンをいただきます。
この時代のこの民主化運動を描いた映画は多く、どれも傑作なのでオススメ。
1987、ある闘いの真実《1987: When the Day Comes》の、あらすじ|全斗煥大統領による軍事政権下の韓国
全斗煥(チョン・ドゥファン、日本語読み:ぜんとかん)大統領の軍事政権下で、学生運動家のパク・ジョンチョルが尋問中に死んだ。
脱北者で、共産主義容疑者の捜査を担当する冷酷な捜査所長パク・チョウォンは、ジョンチョルの検死を行う前に遺体を火葬し死因を心臓発作と報告することで隠蔽をはかろうとする。そこでパク所長の部下がチェ・ファン検事に火葬の承認を求めるが、背後のたくらみを感じた彼は拒否。案の定、検死の結果ジョンチョルの死が拷問(犯罪)の結果であることが判明する。
チェ検事は、死に関する報道を禁じる規制があるにもかかわらず、記者のユン・サンサムに検死の証拠を残す。ユン記者によって「パク・ジョンチョルは、警察の報告書で主張されていた心停止ではなく、警察による拷問で窒息死した」ことが世間に知らされた。
警察に対する世論の激しい抗議に直面し、パク所長は、この事件の全責任を2人の刑事に負わせることにした。所長は、その1人チョ・ハンギョン刑事に「殺人ではなく過失致死で刑期を短縮する」と約束したが、この約束を果たすことができなかったため刑務所に彼を訪ねた同僚とチョ・ハンギョン刑事との間で激しい口論が何度も起こった。
これらのやり取りを耳にした、隠れ民主化運動家の看守ハン・ビョンヨンは、隠蔽の有罪の証拠となる面会記録を公開するよう刑務所長に説得をこころみる。
このハン看守の姪であるヨニは大学生で、彼の内通を手伝うこともあるが、民主化の活動には興味がない。ある日、ヨニはデモ隊と警察の激しい衝突に巻き込まれるが、1人のイケメン学生運動家によって救われる。二人は大学のキャンパスで再会し、ヨニは活動家クラブに誘われ出席する。その会合で光州事件の映像が流されるが、運動に参加することには抵抗していた。
刑務所長は、パク長官がチョ刑事とその家族を脅迫、それに抗議するとパク長官の仲間に激しく殴打される場面を目撃したため、ついに面会記録の開示に同意する。看守ハン・ビョンヨンは、ヨニに民主化活動家のキム・ジョンナムへ拷問事件の重要情報を渡すよう頼むが、彼女は拒否。そこでハンは自分で渡そうとしたところ、見つかって拉致され、パク・ジョンチョルが殺害された取調室で拷問されてしまう。
叔父が逮捕されてしまったことを後悔するヨニは、独自に情報を伝える。その情報はカトリック司祭正義協会に伝わり、同協会は「逮捕された2人の刑事と他の3人が、取り調べ中の拷問でパク・ジョンチョルを殺害、それをパク長官が殺害を隠蔽しようとしていた」と公式に発表する。
その報道により、パク長官ほか関係者たちは逮捕。看守ハン・ビョンヨンは釈放され、家族の元に戻った。その後、ヨニは自分が出会ったイケメン学生活動家が最近のデモに参加した際、警察の催涙弾で頭を撃たれ重傷を負ったことを新聞で知る。その後、その活動家イ・ハニョルは死亡したことが報じられた。
ヨニは彼の死に大きなショックを受け、ついに民主化運動に参加する。
1987、ある闘いの真実《1987: When the Day Comes》の、観る前に知っておきたい知識と見どころ|ソウルオリンピックは軍事政権下で行われた
韓国で起きた、有名でデカい民主化運動デモ2つ
光州事件
1980年5月18日から27日にかけて、光州市で起きた民主化要求運動とその武力鎮圧。
主な経緯は
- 5月18日、全斗煥将軍による軍事クーデターに抗議して学生デモが発生
- 市民を巻き込んで大規模化、20万人以上が参加する民衆抗争に発展する
- 市民側は武装し、軍と対峙
- 5月27日に戒厳軍が武力で鎮圧、多数の死傷者が出た
- 公式発表では死者191人、負傷者852人とされていますが、実際の犠牲者はさらに多いとの見方もあり。
5・3仁川事態
1986年5月3日に韓国の仁川市で発生したデモ。発端は「直接選挙で大統領を選ばせろ」という主張でした。当然、参加者と当局との間で衝突が起こり、多数の逮捕者が出ました。
いろいろ気になる昭和感
韓国の話ですが時代的には日本の昭和なので、今見るといろいろ気になりますね。
- 新聞が活躍しており、悪を退治する正義の味方として強かった時代
- タバコ吸いながら記者会見
- 検事も警察も暴力的
グリーンかぶりの画面も、レトロな空気感を演出しています。
独裁政権に反対すると、なんで共産主義者扱いされるの?
もともと独裁政権に反対することと共産主義者であることは、まったく別物のはず。というか別物。でも歴史的だったり政治的だったりな理由で一緒にされることがあるんだと。
反共産主義が国家の政策だとなった場合、政府を批判する=共産主義、とその2つを結びつける傾向が生まれました。戦前のわが国の特高警察の話を聞くとイメージしやすい。
また独裁政権は、自分たちを正当化するため反対勢力を「共産主義者」や「過激派」と呼ぶことで、国民の支持を得ようとする戦略を取ることもあります。
「その話し方、直した方がいい。まるで金日成ですよ」ってセリフ、暴力に対する最高のカウンター。
ソウルオリンピックって軍事政権下??
1988年のソウルオリンピックは、軍事政権下で開催されました。いいの?って思うんですけど、IOCがソウルを開催地に選んだ理由は以下のようなもの。
- 1964年の東京以来、2度めのアジア開催という意義
- 韓国の経済発展を世界に示す
- 東西冷戦下での外交関係改善の可能性
結論として、IOCは韓国の政治体制よりもオリンピック開催による外交的・経済的効果を重視して開催地を選定したと考えられます。ソウルオリンピックは、80年モスクワ大会の西側諸国ボイコットや84年LA大会の東側ボイコットを経て、冷戦構造の緩和や韓国の国際的地位向上に貢献したという点で、一定の成功を収めたと評価できるでしょうね。なぜ私が偉そうに言っているのかは別の話。
出演者のみなさん
- 出た、ユ・ヘジンちゃん!この顔見ると安心します。
- カン・ドンウォン(学生活動家、イ・ハニョル)は何かで見た顔なんですが、過去の出演作リスト見てもわかりませんでした。悪役のイメージなんですが。ちょっと鈴木裕樹さんに似てる気もしました。
- 見た顔が多く出演されていましたが、やはり韓国の人の名前は全然覚えらなくて
- ヨニが漫画サークルの教室まで友人に引きずられてく場面が可愛いので見逃さないように。
1987、ある闘いの真実《1987: When the Day Comes》の、キャストと予告編|Cast and Trailer
◎2h09m (2017)
*以下、看守のハン・ビョンヨンと、その姪ヨニ以外は実在の人物
- パク・ジョンチョル(ソウル大の学生活動家、取り調べ中に拷問で死亡)
- パク・チョウォン(警察の対共捜査所長、脱北者でもある)
- チョ・ハンギョン(刑事、対共捜査所の班長)
- チェ・ファン(検事、ジョンチョルの死因に疑問を持つ)
- ユン・サンサム(東亜日報社会部記者、東亜日報は韓国三大新聞社のひとつ)
- ハン・ビョンヨン(刑務所の看守、刑務所内の情報を民主化活動家にこっそり流す)
- ヨニ(大学生、ハン看守の姪)
- キム・ジョンナム(逃亡中の民主化運動家)
- キム・スンフン(カトリック司祭、民主化運動家)
- イ・ハニョル(イケメン学生活動家、ヨニがときめく)