インドでは、なぜレイプ事件が多いのか。たとえケンカでも交通事故でも、物ごとの原因が一つなんてことは無いので、さまざまな理由が複雑に絡まって起こるわけなんですけども。インドの場合は、こんだけ考えられます。
- カースト制度と差別
- 女性の地位と教育の欠如
- 貧困とインフラ(特にトイレ)の不足
- 法の執行と警察の信頼性の問題
- 宗教的・地域的要因
こういった要因が複雑に絡み合うことで、インドにおける事件が多発してしまっているのですね。
インドって言えば世界第3位のIT大国で、教育やインフラなどはとっくに整っていると思っていたのですが、都市部と地方との格差は、まるで「特上のうな重」と「茹で過ぎたスパゲッティ」くらいの違いがあるようです。
この映画は、13歳の娘キラン(仮名)が残酷な集団レイプに遭遇した後、正義のために闘う父ランジットの物語を追ったドキュメンタリー。
虎を仕留めるために《To Kill a Tiger》の、あらすじ|圧倒的に不利な性被害の被害者
事件
13歳の少女キランは、インド北東部の小さな村の結婚式に出席した夜、みんなが帰った後で、いとこを含む3人の男にレイプされた。
父親の決断
父親であるランジットは、村の人間たちの言う「村のことは村内で決める」というイカれた常識に異を唱え、娘をの意志を尊重し犯罪に対する法的裁きを求めることを決意する。
社会的圧力
家族は村人たちから「事件を取り下げて、代わりに被害者をレイプ犯のひとりと結婚させるという地元の習慣に従え」という強いクソ圧力に直面してしまう。
法廷闘争
父ランジットは、活動家グループであるシルジャン財団の支援を得て、14ヶ月もの期間にわたり、この訴訟を法的手段で追及した。
課題
一家は正義を求めて闘う中、村の中で仲間はずれにされ、さらに脅しを受けて暴力の脅威にもさらされ、仕事もままならないため経済的苦境にも耐えなければならなかった。
キランの勇気
事件によるトラウマを抱えながらも、キランは力強い証言を自分自身で行うことで、犯人たちを有罪に導く重要な役割を果たした。
事件の背景
このドキュメンタリーは、インド(特に地方)における性暴力の蔓延とそれが野放しになっている現実を浮き彫りにしている。インドでは実に平均20分に1人の女性がレイプ被害に遭っており、その約90%が報告されていない。
虎を仕留めるために《To Kill a Tiger》の、観る前に知っておきたい知識と見どころ|田舎における同調圧力の胸糞具合
顔の画像は拡散禁止
「彼女とその家族のプライバシーを尊重するため、彼女を特定できるような画像は、この映画の鑑賞以外では共有しないようお願いします」という重々しいメッセージから始まります。
実際の映画から、お父さんの悲しそうな目を見て感じてください。
典型的で強烈な性的二次被害(セカンドレイプ)
とにかく村の連中の言葉が、法治国家の基準で聞いてるとムチャクチャなんです。「村の問題」とか「村の中で解決できた話」などと言ってるけど、村長決めるんじゃないんだから。国の法律を犯しているわけなんで。
被害者が無視されて仲間はずれにされてるとかとか、田舎ってこえーと思いました。Webマンガとかに出てきそうな世界。事後を見てると、まるで村全体で暴行したみたいで「加害者と結婚させるべき…」という、この村のババアに直接反論したいです。
ディスカバリーチャンネルのアーミッシュ in NYというやつでも言ってたけど、アーミッシュの村でも同様の事件は揉み消されるそうだ。
性犯罪の無い国はないのか
人権団体の人は「この国の基本的な構造に問題がある」と言っていますが、性犯罪の無い国はないんですよね。国ごとに統計の仕方が違うため、単純に多い少ないを比較することもできず。たとえばスウェーデンなどはOECDワーストクラスですが、他国ではカウントされないような事件も全部含めているために多くなるのだそうです。
我が国でも2003年に発覚した早稲田のスーフリ事件をはじめ、東大、千葉大、慶応といった名門大学で集団強姦事件が発生しています。まだまだ強姦を犯罪として軽く見ている層が多数含まれているのが現状。なので、犯罪者を撲滅する努力をするのと同時に、守備もしっかり固めていく必要があります。そして処罰と一緒に治療も必要でしょう。
インドの交通ルール(余談)
インドはイギリスの植民地だったため、世界的には少数派である右ハンドル、左側通行。あとノーヘルでバイクに乗れるところは、交通法規途上国と言えそうです。
虎を仕留めるために《To Kill a Tiger》の、キャストと予告編|Cast and Trailer
◎2h7m (2022)
*被害者とその家族は、みんな仮名です
- キラン(主人公の少女)
- ランジット(お父さん、怒りに燃えて裁判を起こし戦う)
- ジャガンティ(お母さん)
- アミット・シン(スリジャン財団、男女同権活動家)
- カピル(いとこで犯人の一人)
- ラングルー(犯人の一人)
- イシュワル(犯人の一人)
- バドラム・バダ(ムキヤという村のリーダー)
- マヘンドラ・クマール(女性のための人権活動家)
- アショク・クマール・ライ(検察官)
- ジョファ・ラクラ(スリジャン財団、弁護士)
- ラカン・ラル・シャー(法律顧問)
- プスパ・シャルマ(スリジャン財団)
- ジューヒー・チョーダリー(被告側弁護人)
- ムタリク村議会議員
- サムレンドラ・クマール・シン(超絶無能な捜査官)
- アフザル・フセイン(撮影班運転手)