私が「50 Most Populous Cities in the US」という、アメリカの人口が多い都市上位50を地図上で当てるクイズなゲームで覚えたのは、オハイオ州の州都の方のコロンバス。
しかし、この映画の舞台は、そのコロンバスではなくてインディアナ州のコロンバスです。
こっちのコロンバスはモダニズム建築の街として有名であり、登場する建築物は主演のジョン・チョー、ヘイリー・ルー・リチャードソン(ラスト・サバイバーの主演)と並び、この作品においてトリプル主演の一角をなしていると言えます。
オハイオ州とインディアナ州は隣同士なわけで、隣同士の州に同じ名前の街があるということは、たとえるならば岩手県と秋田県の両方に盛岡市があるみたいな感じでしょうか。
嫌いな父を見舞うジンと、依存症の母を見捨てられないケイシーの話《映画『コロンバス』のあらすじ》
ジン・リー(John Cho)は、建築学者で講演ツアー中に昏睡状態になった入院中の父を見舞うため、韓国からインディアナ州のコロンバスを訪れる。
ある日、ジンは病院近くの図書館で働く建築に詳しい女性ケイシー(Haley Lu Richardson)に出会う。
2人はケイシーが数日間コロンバスを案内するうちに意気投合。コロンバスの建築物について語り合うと同時に、互いのことを打ち明けていく。
ジンは、家族より仕事を優先してきた父親への憤りを露わにし、ケイシーもまた建築関係の仕事に就きたいという想いを持ちながら、薬物依存症の母親と離れることはできないと語る。
ある夜、ケイシーとジンがコロンバスをぶらついていた際に、ケイシーは自分の母親が嘘をついていたことを知る。
この出来事をきっかけに、ケイシーは自分の夢を実現するためにコロンバスを離れることを決意。
ジンとケイシーは別れの挨拶を交わし、ケイシーは旅立ち、ジンは病身の父親を看病するために残る。
──こういう、微妙な距離感のまま男女がそれぞれの方向へ散っていくのって、簡単にくっつくよりかえって胸アツですよね。
モダニズム建築が構成する画の美しさにニヤける《映画『コロンバス』の見どころ》
小津安二郎監督の影響
本作は小津安二郎監督の映画から影響受けているとのこと。
しかしながら私、小津作品は『東京物語』しか観たことがないので、申し訳ないのですがそういった意味では「おお!ここだ!」となる瞬間がありませんでした。
個人的に気づいたのは、
- 引きの画が多く建築物が広角で美しく映っており、画面がフレームを作っている感じ
- セリフと画の時間軸的なコントラストが美
- 部屋の鏡やバックミラーなど、鏡の中で芝居が展開される場面がある
- スクリーン全体が緑がかっている
- コロンバスを象徴する名所、Miller House and Gardenもバッチリ登場
- マコーレ・カルキンの弟が兄に激似で草
- 親父を嫌っていたジンが残り、母のためとか言っていたケイシーが街を離れるという、2人の初志と結果が交錯するのがポイント
といったところです。
血縁者や同級生に建築家を持ちながら建築の知識がない自分にとっての視点はこんな感じでした。
ドラマ『名建築で昼食を』
ちなみに、元ばちかぶりの田口トモロヲさんと池田エライザさんの『名建築で昼食を』という短いドラマもアーキテクチャに興味あるなら楽しいかもしれませんよ。
Cast and Trailer《映画『コロンバス』のキャストと予告編》
1h44m (2017)
- ジン・リー(お父さんを嫌う韓国から来たおじさん):ジョン・チョー
- ケイシー(地元の図書館で働く若い女性):ヘイリー・ルー・リチャードソン