私が6歳だった当時の話。もちろんまだ仕事をしたこともなく、もしかしたら風呂も1人で入れなかったかもしれないくらいのころ、通っていた幼稚園で仲間と一緒に、絵の具を机などにぶちまけてグチャグチャにしたことがある。
動機などはまったく憶えていないが、たぶん出来心的な何かだったと思う。
ほかの犯人たちは家が遠い青コースだったので先に帰り、ピンクコースだった自分は、その後ちゃっかり「クラスメイトのいたずらを発見し呆れて後片付けをする方」の側にもまわっていた。
翌日、青コースの犯人たちは松田先生に怒られて後片付けをしたピンクコースに頭を下げさせられていたのだが、私は自分もやったにもかかわらず流れで片付け側にも所属したため、犯人たちから謝られる側に立っていた。
一部の女子が私の犯行を目撃していた旨をささやいてはいたが、それが正式な証言として採用されることはなかった。
このように、正直に言わなかったことで逃げ切れるケースももちろんあるでしょう。しかし、この映画は「見なかったこと」にして封印しようとした結果、危ない目にあってしまった男の話です。
とにかく主人公の行動にイライラさせられるとは思いますが、観てる側をイライラさせるのは物語にひきつけるテクニックのひとつなので、もしイライラしたら「あー自分はまんまと踊らされてるな」と冷静に深呼吸することをおすすめします。
目撃者/The Witness(韓国映画)の、あらすじ|殺人犯と目が合ってしまった男
引っ越してきたばっかのマンションに泥酔で帰ってきたある夜、サンフン(イ・ソンミン)は窓の外から女性の悲鳴を耳にする。ベランダから覗いてみると、キャップをかぶった若い男(クァク・シヤン)がハンマーで女性をタコ殴りしているのが見えた。
その時サンフンは若い男と目が合ってしまったが「俺は何も見ていない」と思い込もうとして警察も呼ばない。
次の日その女性の死体が発見され、刑事のジェヨブ(キム・サンホ)が事件の調査を始める。だが何百世帯もの部屋に面した場所で起きた事件なのに目撃者は現れず、サンフンも怯えていて刑事の聞き取りに全否定。
そうこうするうち、事件を目撃していた別の住人が犯人に殺される。この殺人犯にとってはサンフンも目撃していた1人であるということはバレバレなのに、知らないふりを通して自分と家族を守ろうとする。ところが…という話。
観る者を作品に惹きつけるには、イライラさせること──という定石にしっかり従ってストーリーが展開されます。そこはご安心ください、きちんとイライラさせられます。
目撃者/The Witness(韓国映画)の見どころ|社会心理学「傍観者効果」の怖さ
目の前で事件が起こったとき他に傍観者がいる場合、人は行動を起こさなくなる
結局、犯人については最初の殺人の動機とか、こうなるまでの生い立ちとかには一切触れられていません(たぶん)。なのでこの物語においては、そこは気にしなくていいようです。
それより、社会心理学でいうところの「傍観者効果」の怖さを感じました。「目の前で事件が起こったとき、自分の他に目撃していた人(傍観者)がいる場合、率先して行動を起こさなくなる」というアレです。人数が多いほどそうなるそうです。
実際のニュース記事のコメント欄やTwitterなどでは「その場にいても見てただけ」という人たちに対してよく非難が起こっていますね。私も、自分がその場にいたとしたらスマートに退治しているだろうなんて場面を想像しますが、キティ・ジェノヴィーズ事件のように現実には誰もが動くことはできないのでしょう。
日本でも新幹線での殺傷事件でこのようなケースがありましたよね。You Tube を観て護身術でも学ぼうか。なお "All of Us Are Dead" というNetflixのゾンビのドラマでヒロイン役だった박 지후さんが、ちょっとだけ出てきます。
目撃者/The Witness(韓国映画)のキャストと予告編|Cast and Trailer
1h51m (2018)