この映画は、実際に起きた「漆谷継母児童虐待死亡事件」がベースになっています。
ノンフィクションか否かを問わず、大人から子どもへの暴力がテーマになった作品は多い。しかし厚労省のデータを見ると、児童相談所が対応した件数は年々増加している。
まあ、それだけ発見された件数も多いということなんでしょうけど。昔は虐待などの暴力行為を「折檻」と言ってお仕置き程度にしか考えていませんでしたからね。
いずれにしても、こういう作品に触れた後は、みんなでしっかり意識し1件でもこんな悲劇を無くすべきで。私も今後は、つねに目と耳をこらして以上がないか注意しながら生活していきたいと思います。
そんなわけで手始めに通報先を調べたのですが、局番なしの「189」(いちはやく)で、近くの児童相談所につながるとのこと。「いち早く」なら1889になってしまうだろう、と誰もが思いがちですので、くれぐれもお間違いのないよう。
幼い依頼人《My First Client》の、あらすじ|頼りないおじさんが、途中から本気になって幼い依頼人を守る
地方都市出身のジョンヨブ(イ・ドンフィ)は、ソウルの法律事務所で弁護士として活躍すべく就職活動中。多くの資格を持ちながらもなかなかうまくいかず、お姉さん(コ・スヒ)にも尻を叩かれ、とりあえず児童福祉センターで働き始める。
ある日、児童福祉センターの同僚と一緒に行った警察署で10歳の少女ダビン(チェ・ミョンビン)と弟のミンジュン(イ・ジュウォン)に出会う。ダビンはそこで、継母のジスク(ユソン)に首を絞められたと助けを求めるが、警察はまともに取り合わない。
ジョンヨブも自分のことで精一杯で何もできない。担任の教師も頼りにならない。
そのうちダビンの鼓膜が破られ、ミンジュンが亡くなりダビンがその被疑者とされるなど、事態はどんどん悪化。
「法にあらがい子どもを助けるためには、現在の地位を投げうたなければならない」──ついにジョンヨブは、せっかく入ることができたソウルの法律事務所を後にし、ダビンの弁護士として立ち上がる。
幼い依頼人《My First Client》の見どころ|儒教思想の悪影響
儒教が人権に及ぼす悪影響
親子中心主義、血縁主義を原理としている儒教思想って、現代においては結構な悪影響を及ぼしていると思うんですよ。
別姓にしたら家族が壊れるとか、交流もなかったのに先祖ってだけで墓を維持しなきゃならないとか。中でも特に、親権ってやつが子どもの人権や今の法より強いって絶対おかしいと思います。
かなわない存在から受ける暴力の怖さよ
私は幽霊なんかより虐待の映画の方が断然怖い派なんですけど、これはまさにそんな感じです。よく見る手法ではありますが、前半の動物園訪問などのコミカルなシーンが、より後半の恐怖を煽ってきます。
他の人たちは口では助けると言って動きゃしないし、悲鳴と暴行の音を聞く近所の住民も「また始まった」と放置。近づいてくる継母の影だけが映るシーンも観ていて「ひぃいー」となります。
大人を信じちゃダメ。今まで、話したらどうなった?
クライマックスでは、弟の死因である継母の暴行の罪をかぶらされたダビンがなかなか真実を話さないのですが、その背景にあるのが「大人を信じちゃダメ。今まで、話したらどうなった?」という思考にあるのがなんとも。
あと最後の法定のシーンの、本気でわかっていない感もリアルでした。虐待の親って本当に躾だと思ってやってたりしますよね。加害者の親も、何らかのストレスで脳が狂わされているのでしょう。
子どもたちの演技
子役たちのお芝居は優秀なのでドキドキしますが、カメラが回っていないところでは役者同士和気あいあいとしていてほしいです。ちなみに弟は映画用にバカを演じているけど、このくらいの子どもってこんなにバカじゃないよね。
幼い依頼人《My First Client》のキャストと予告編|Cast and Trailer
1h54m (2019)