「目明き(目の見える人)とは不自由なものだのう」とは江戸時代の国学者、塙 保己一(はなわ ほきいち)の名言ですが、最近世間がようやく追いついたと言いますか、ルッキズムにとらわれるという価値観が時代遅れになっているような感じがあります。
顔出しをしなくても歌が売れたり動画でアクセスを稼いだりなんかしてますよね。
にしても、姿かたちが毎日変わるという、たぶん生物学とか物理学とかいろんな方向から現実に不可能な、この恐ろしい病気のアイデア。どうやってこんなの思いついたんでしょう。
しかも思いついたってだけでなく実際に映画として完成させ公開してしまったという。
ただし「初対面」とか「パーティー」とか「チェコのまちで久しぶりに会うとこ」とか、重要な場面はところどころ都合よくイケメンになります。
やはりルッキズム(外見至上主義)の完全な否定って難しいのでしょうか。
ビューティー・インサイド《The Beauty Inside》の、あらすじ|毎朝、昨日と違う姿かたちとなって目覚めてしまう男
18歳の誕生日を迎えた朝、ウジンは鏡で見た自分の姿がまったくの別人であったことに衝撃を受ける。この日以来、なんでか知らんけど朝起きると年齢や性別、国籍もバラバラな毎日違う身体で目覚めるようになってしまった。
悩むとかそういう次元を超えて地球が割れるほどのショックだと思われるが、母(ムン・スク)と親友であるソンベク(イ・ドンフィ/この人あれだ。「幼い依頼人」の主演の人だ)の理解もあって、ウジンは徐々に自分の奇妙な状態を受け入れるようになる。
家具デザイナーとなったウジンは、顧客一人一人のためにデザインされた手作り家具を専門に扱うALXという会社を経営する。デザインは家の中で行い、親友ソンベクが営業や顧客との折衝を担当してくれるため、人と会う必要がない。
ある日ウジンは、インテリアショップで働くイス(ハン・ヒョジュ)に恋心を抱くようになってしまう。彼は、自分がイケメン(パク・ソジュン)に変身するタイミングを見計らい、ついにデートに誘うことに成功。
しかし同じ姿をキープするためには、何日も寝ないで過ごさなければならない。さすがに体力がもたず結局は眠ってしまい、別人の姿になってしまったため、連絡を取ることができなくなってしまった。
そのためイスはウジンの家を訪問。彼の秘密を知ってしまう。
衝撃を受けたイスだったが、彼の内面を理解し受け入れようと努力する。
しかし見知らぬ人を毎回ウジンだと信じなければならないことや、周囲から「いつも違う男と付き合っている」と噂されるストレスによって精神が追い詰められ、薬に依存する状況に追い込まれる。
そんな事実を知ったウジンは、彼女の前から姿を消すことを決意。
しかし、すでにウジンが心から離れなくなっていた彼女は、彼を探し始める。
ビューティー・インサイド《The Beauty Inside》の、観る前に知っておきたい知識と見どころ|パク・ソジュンくんの姿だったから、恋に落ちることができた?
やはり最初はルックスから?
内面、人間性に惚れたとはいえ、性別や言葉の通じない異国の人に変身してしまうってのはキツくないでしょうか。一瞬、目が見えない人には普通のことだと思いそうですが、やはり匂いや声が変わるとそれはもう別人に近い。
そもそもこれ出会いの最初が、梨泰院クラスでおなじみのパク・ソジュンくんの姿だったから恋に落ちることができたのでしょう。本人もイケメンになるタイミングを狙っていたし。
直後に寝落ちして変身してしまったキム・サンホおじさん(名優です)が最初の相手だったら、かすりもしなかったはず。
にしても、朝起きて服やアクセサリー、化粧品などを見ているときのイス(ハン・ヒョジュ)が、朝陽の光と絡まり美しすぎて気を失いかけました。
内面の未熟さを埋めるために外観を飾るのは普通のことです
まだ何もできない、何者でもない若者たちの多くは、内面の未熟さを埋めるために一生懸命外観を飾るのはいたって普通のこと。そういう意味で、若いうちならば多少見た目にこだわるのもアリかもしれません。
ただし整形のし過ぎとか加工されすぎの画像は、かなり薄気味が悪いしおそらく病んでいるだろうと思われますので、お医者さんに協力を仰ぎましょう。
名曲「Amapola(アマポーラ)」
主人公のお二人が、レコードでスペイン出身の作曲家ホセ・ラカジェの曲「Amapola(アマポーラ)」を鑑賞する場面。
ここでJosé Ramírez(ホセ・ラミレス)の名前が出てきますが、これはあのMLBクリーブランド・ガーディアンズの主砲であるホセ・ラミレス内野手とは別人で、Ramírez Guitars社という楽器メーカーの創業者、ホセ・ラミレス氏のことです。
この曲は、1984年の映画「Once Upon a Time in America(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ)でも、映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネさんの演奏で印象的に使われていましたね。
エロは平和の象徴
そして「一番好きな日本の女優は、蒼井そら」というセリフ。これを聞いたとき、なんだか温かい気持ちになりました。いま世界で紛争を起こしている地域は、セクシー女優なら仲裁できるのではないか、と割とマジメに思います。
ビューティー・インサイド《The Beauty Inside》の、キャストと予告編|Cast and Trailer
◎2h7m (2015)
- ホン・イス(大ヒロイン):ハン・ヒョジュ
- キム・ウジン(ウジンがはじめて変化した姿):キム・デミョン
- キム・ウジン(恋に落ちたとき):パク・ソジュン
- キム・ウジン(寝落ち後):キム・サンホ
- キム・ウジン(姿が変わってしまうことを告白):チョン・ウヒ
- キム・ウジン(パーティー時の紹介用イケメン):イ・ジヌク
- サンベク(ウジンの親友):イ・ドンフィ
- ウジンの母(ウジンの母で理解者):ムン・スク