『スターリングラード』は、ノルマンディー上陸作戦のように世界規模で有名な戦いで、繰り返し映像化されてきた激戦のひとつ。
この2001年のものの他にも、いくつもありますが、悲惨な市街戦として史上に残るほどの戦闘を描くのにロマンス要素って必要ありましたかね?
主演にジュード・ロウを使う以上、仕方ないのかな。
スターリングラード《Enemy at the Gates》の、あらすじ|かわいそうなダニロフ…
1942年、ソ連赤軍の狙撃兵ヴァシリ・ザイツェフは『スターリングラードの戦い』の最前線へ送られていた。
物資不足で一人1丁分のライフルが無く、弾薬のみを持った彼は政治将校のダニロフと死体の山に隠れる。
ダニロフはライフルをヴァシリに渡すと、1分足らずで5人のドイツ兵を射殺した。
ニキータ・フルシチョフ(後に書記長となってソ連のトップに立ち、1962年にはキューバ危機を起こした、あのフルシチョフ)は士気高揚について部下にアイデアを求めた。
その中で、上級中尉となっていたダニロフは「軍隊に模範を作り、従うべき」と提案し、その役割としてヴァシリを推薦。そして、ヴァシリのカリスマ性を軍の新聞に掲載し始める。
ヴァシリは狙撃兵に編入されダニロフと親しくなったが、2人は共に地元民兵のタニア・チェルノヴァに恋心を抱くようになった。
激戦によるタニアの身を案じたダニロフは、ドイツ語のスキルを持った彼女を、戦地で戦いたいという本人の意向に反して諜報部隊に異動させる。
ドイツ軍は、ソ連軍の狙撃兵よって被害が増大しつつあった。
ヴァシリを殺しソ連軍の士気を低下させるため、ドイツ軍は名狙撃手エルヴィン・ケーニッヒ少佐を現地に配備する。
ヴァシリはケーニッヒに罠を仕掛け、ターニャの助けを借りて彼を負傷させることに成功するが、二度目の襲撃の際にヴァシリは眠ってしまい、彼の狙撃記録はドイツ兵に盗まれてしまう。
ドイツ軍司令部はその記録をヴァシリの死の証拠としてケーニッヒを帰国させようとするが、ケーニッヒはヴァシリの死を信じていなかった。
命を賭けたギリギリの精神状態が続くせいか、タニアとヴァシリは恋に落ちた。
そしてある晩、タニアは密かにソ連の兵舎に行き、ヴァシリと愛し合う。
二人の仲を知ったダニロフは、嫉妬から上官への手紙の中でヴァシリを中傷する。
ヴァシリはケーニッヒとの対決前に、タニアとダニロフを少年サーシャの母親の避難に向かわせた。
そして避難用ボートに向かう途中、タニアは爆弾の破片で負傷する。
彼女が死んでしまったと思ったダニロフは、ヴァシリへの嫉妬を後悔した。
ダニロフはケーニッヒを待ち伏せしていたヴァシリのもとへ行き、わざと自分の姿をさらしたうえでケーニッヒを挑発し撃たれる。
そして遺体を調べに行ったケーニッヒへ、ヴァシリの銃口が向けられた。
その2ヵ月後にスターリングラードは解放され、ヴァシリは野戦病院で回復しているタニアを見つける。
スターリングラード《Enemy at the Gates》の観る前に知っておきたい基礎知識と見どころ|人類史上最大の激戦、第二次大戦中の独ソ戦
スターリングラード攻防戦とは
ウラヌス(ラテン語で天王星って意味)作戦の名でも知られる「スターリングラード攻防戦」は、第二次世界大戦中のドイツを中心としたルーマニア、イタリア、ハンガリーなど枢軸国連合軍対ソ連の、いわば殺し合いのケンカ。
1942年11月19日から1943年2月2日にかけて、ロシア南部のヴォルガ川西岸にあるスターリングラード(現ヴォルゴグラード)市と、その周辺で行われました。
以下、スターリングラード攻防戦のポイント:
- スターリングラード攻防戦は、東部戦線でソ連が優勢となった決定的な転換点となった
- ゲオルギー・ジューコフ将軍とアレクサンドル・ヴァシレフスキー将軍に率いられた赤軍は、スターリングラードで30万人以上の枢軸国軍兵士を包囲、罠にはめるために2つの挟撃作戦を開始
- 数ヵ月にわたる激しい市街戦の後、包囲されたドイツ第6軍とその同盟軍は疲弊し、1943年初めに降伏
- スターリングラード作戦では、ソ連軍と枢軸軍合わせて100万人以上が死傷または捕虜となり、戦史に残る残酷で過酷な戦いのひとつとなった
- スターリングラードでのソ連軍の勝利は、ヒトラー軍のロシア領土への最深部侵入を撃退し、最終的にドイツ軍をベルリンまで追い詰める反攻の幕開けとなった
つまり「スターリングラード攻防戦」は、ソ連がドイツの大軍を包囲して降伏させたことで、ナチのソ連侵攻に対する流れを決定的に変える重要な戦いとなったのでありました。
ヘルメットの形でどっちがどっちか見分けられる
自分は小学生のころタミヤのミリタリーミニチュアを作っていたので、ヘルメットの形でどっちがどっち軍なのか、すぐにわかるという特技を持っています。
これ、この時代の戦争映画を観るうえで、かなり役立っています。
加えて、Nazi Eagleのバッジの形など覚えておくとストーリー展開がわかりやすくなるのでオススメ。
もしかして、ショッカーのシンボルマークはこれをモチーフにしてたりしますか?
あと何ですか?この時のソ連軍はヘルメットも無いほど困窮していたのでしょうか。
ボリシェヴィキは、のちのロシア共産党だよ
劇中に登場する『ボリシェヴィキ(ロシア語: большевики́、bol'sheviki、「多数派」の意)』てのは、世界初の社会主義国家を建設した革命家レーニンが率いた左派の一派。ロシア社会民主労働党が分裂して形成されました。
ロシア革命の主役となり、後に『ロシア共産党』に名前を変えます。
キューバ危機で有名なフルシチョフ登場
戦後、スターリン批判を行なって1962年にキューバ危機(危うく世界核戦争になりそうだった事件)を起こしたフルシチョフが、この頃はスターリンの同志として登場。
知り合いでもないのに「おぉ、こんなところで!」となりました。
伝説のスナイパー(狙撃手)
伝説のスナイパーといえば、イラク戦争で160人の敵を射殺したアメリカ海軍特殊部隊SEAL所属のクリス・カイルや、スコープなしでソビエト赤軍兵を542人射殺したという白い死神シモ・ヘイヘがいますね。
現代の武器の命中率はどんなもんですか?
ロマンス、イラネ
市街戦の過酷さはわかるんですが、悲壮感がイマイチ伝わってきません。
やはり実際の戦闘をモデルにした戦争映画にロマンス要素をいれると中途半端になりますよ。
ロシアの退役軍人から、この映画の描写は実情と離れているとして、映画上映に反対する意見書がロシア下院に提出されたというのもわかる気がします。
もし自分がロシアの退役軍人でも同じこと言うかもしれません。
ロシア人が流暢に英語を話す
ソ連が物語の舞台ですが、登場人物が会話に使用しているのは英語です。
まぁ吹替と一緒なんですけど。
あと無謀な指揮官が、とにかく根性で突っ込ませようとしがちなのは、どこでも一緒なんですね。
スターリングラード《Enemy at the Gates》のキャストと予告編|Cast and Trailer
◎2h11m (2001)
- ヴァシリ・ザイツェフ(主人公で超有能なソ連軍のスナイパー):ジュード・ロウ
- ダニロフ(ヴァシリの友だちで共産党の広報):ジョセフ・ファインズ
- ニキータ・フルシチョフ(第二次大戦後にソ連の指導者となるが、このときは陸軍中将と同位の政治委員):ボブ・ホスキンス
- タニア・チェルノヴァ(ソ連市民軍の女性兵士):レイチェル・ワイズ
- エルヴィン・ケーニッヒ少佐(ドイツ軍の名スナイパーで、敵であるヴァシリのライバル的存在):エド・ハリス
- 少年サーシャ(ソ連軍のスパイとしてドイツ側に近づく):ガブリエル・トムソン