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アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発【映画】あらすじ|有名で邪悪な心理学実験〈Experimenter/2015年アメリカ〉★予告編付き★

01/21/2024

スタンフォード監獄実験やサードウェイブ実験と並び、そのイカれ具合で世界的に有名な心理実験「ミルグラム実験」。心理学の教科書にも載っている、スタンレー・ミルグラムが行なった服従の心理実験の様子をドラマ化したのがこの映画です。別名アイヒマン実験とも言いますが、それについては後述。

アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発《Experimenter》の、あらすじ|本当の悪は平凡な人間が行う

社会心理学者のスタンレー・ミルグラムは、1961年イェール大学で「他人からの指示で、見知らぬ人に電気ショック(クイズに不正解した罰)を与え続けられるのか」という実験をし、権威者に従う一般の人間の意思をテストした。

結果、ほぼすべての被験者が、相手がやめてくれと懇願しているにもかかわらず、状況の重圧に屈して電気ショックを与えて続けている。

一方でプライベートでは、後に妻となり2人の子の母親となるアレクサンドラ(サーシャ)と、ミルグラムが出会う様子が描かれる。世間ではこの実験について非難が起こっていたが、そのたびにミルグラムは実験の倫理性について説明を行なった。

その後はニューヨーク市立大学大学院センターの教授となり、弟子たちの協力を得てスモール・ワールド実験、街角実験、見慣れた他人実験、エレベーター実験など、さらに社会的相互作用や社会的圧力についての研究は進展していく。

ミルグラムの仕事は、彼が51歳、心臓発作で亡くなるまで続いた。

アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発《Experimenter》の、知っておきたい基礎知識と見どころ|命令に対する服従の心理について

ミルグラム実験について

実験の目的は、命令に対する服従の心理について研究すること。

というのも、まず1961年に、第二次大戦中ドイツの親衛隊幹部でユダヤ人大量虐殺の責任者だったアドルフ・アイヒマンの裁判が行われたんですね。当然世界中の注目を浴びたんですけど、裁判に登場したアイヒマンは皆が想像したような超極悪人の風貌ではなく、ただのハゲたおっさんだったことに世間はビックリしたのだとか。

そしてアイヒマンは「命令に従っただけ」なので、自分は無罪だと言い放ったんだそうで。このアイヒマンの様子を見て、ミルグラムは「自分の良心に反することでも、命令されれば人間は指示に従ってしまうのか」という実験を行いました。

以上のことから、この実験は別名『アイヒマン実験』とも呼ばれているのです。

内容は、実験対象者を2人づつ用意(実際には1人はサクラ)。それぞれ別室に入って、一方が問題を出し、もう一方が回答者(こっちがサクラ)となる。

アイヒマン実験

問題を出す方には、相手が誤答すると電気ショックを与えるように指示してあり、その強さを誤答を重ねるごとに上げていくというもの(実際には電気は通っておらず、サクラは声をあげて痛がっている演技をしていた)。

その結果、参加者のおよそ65%が、相手に苦痛を与えるということに不快感を示しているにもかかわらず、権威者に命令されれば他人に対し強烈な電気ショックを与え続けることがわかったのでした。

この実験でミルグラムは、人間の本性と服従について、状況的要因が個人の道徳をいかにくつがえすかを示し、心理学の分野に大きな影響を与えました。

心理学実験なんて、こんなもん?

要は、

  • 文明化した人間がどうして残虐行為に走るのか
  • 組織的な大虐殺はどのように起きたか
  • 加害者たちの良心は働かないのか

と言った問いに対する回答探しなわけですが。結果は65%もの人たちが服従したけれど、裏を返せば残りの35%はしっかり反抗したわけで、100%でない以上科学的ではないというか心理学なんて単なる統計でしかないよなぁ、と思ってしまいます。

ミルグラムの、その他の実験について

六次のへだたり(Six Degrees of Separation)

世の中のすべての人は、6ステップ以内の社会的関係によって互いにつながっているという理論。

1967年、ミルグラムはスモールワールド実験と称し、アメリカ全土に手紙を送る社会実験に基づいて「知り合いから知り合いへたどっていくと、6回以内で地球上の誰にでもつながる」と示しました。簡単に言うと。

現在は、すっかりゲームアプリと化しているGREEの名前の由来は、ここからきています。

イェール大学とは

博士が教鞭をとっていたイェール大学とは、成田悠輔さんがアシスタント・プロフェッサーを務める、あのイェール大学。東京六大学野球連盟に加盟所属する6校の大学を指し示す「東京六大学」のアメリカ版、アイビーリーグのうちの一校です。

Yūsuke Narita

こんな人たちが出演していました

ERのグリーン先生(アンソニー・エドワーズ)にパーマー大統領(デニス・ヘイスバート)と、人気TVシリーズの出演者を見られるのが楽しかった。全体にグリーンかぶりした画面は、60年代の空気感がムンムン。すっかり大人になったウィノナ・ライダーも出ています。

アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発《Experimenter》の、キャストと予告編|Cast and Trailer

◎1h38m (2015)

  • スタンリー・ミルグラム(主人公の心理学者):ピーター・サースガード
  • アレクサンドラ・"サーシャ"・ミルグラム(スタンリーの妻):ウィノナ・ライダー
  • ジェームズ・マクドノー(サクラの被験者、電気ショックを受けるフリをする):ジム・ガフィガン
  • ミラー(被験者の1人):アンソニー・エドワーズ
  • ソロモン・アッシュ(ミルグラムに影響を与えた心理学者):ネッド・アイゼンバーグ

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