2023年、原爆開発のリーダーで原爆の父と言われたロバート・オッペンハイマーの映画がアメリカで公開され話題になったとき、日本未公開で観ていないにも関わらずソーシャルメディア上で非難の声が上がっていました。
ただ、ほとんど話題にはなっていないから知らない人も多いんですけど、日本も原爆開発していたんですよね。というか世界中で開発は進められていたんですよね。
使わなかった、というか、さまざまな理由で開発が間に合わず使えなかっただけなんですよね。できていたら躊躇なく使っていたのではないでしょうか。
もちろん「歴史にifは無い」なんてことも言われているのは知っていますけど、あえて考えるってのも大切な気がしませんか。
太陽の子《GIFT OF FIRE》の、あらすじ|核分裂実験で生まれる綺麗な光は、破壊の光でもあった
太平洋戦争末期の1944年9月、日本海軍は極秘裏に京都帝国大学の物理学研究室へ、新型爆弾の開発を命じていた。
この「F研究」は教授の荒勝文策のもと、助教授の木戸貴一が指揮を執り、岡野真三、助手の清田薫、大学院生の花岡喜一、堀田茂太郎、村井正史、学生の石村修らが参加していた。
のちに荒勝は、新型爆弾を原子核爆弾と名付ける。
修は、陶器屋の澤村から焼き物の釉薬に使われていた硝酸ウランを譲り受け、研究室でウラン235を取り出そうと試みていた。しかし、頻繁な停電のため実験は難航する。
石村修の母フミは修を女手ひとつで育て、修の弟・裕之は陸軍士官として出征していた。
ある日、修の幼馴染の朝倉世津が空襲で家を失い、修の家に身を寄せることに。修は世津に想いを寄せており、内心喜んだ。また、世津も裕之のことを気にかけていた。
1945年初夏、裕之が療養のため一時帰郷し、久しぶりに三人で会う。裕之も世津に想いを寄せていた。
研究は目覚ましい成果が得られず、修は空襲警報にも気付かないほど没頭する。しかし修は、核分裂実験で生まれる綺麗な光が破壊の光でもあることを自覚していた。
そんな中、澤村の娘である、はなが空襲で命を落とすなど戦争の惨状は身近に迫っていった。堀田は陸軍入隊を決意するが、荒勝の裏工作で入隊を断念。修は自分も何も成し遂げずに死んでいくのではないかと不安になっていった。
修は裕之、世津と海でひとときの休息を過ごした。その帰路でバスが故障し、野宿することに。夜中、海に入ろうとした裕之を修と世津が気づいて止める。裕之は「勝っても負けても何も変わらない」と戦争への本音を吐露した。
京都に戻った修は「自分の研究する新しい武器で世界を変えられる」と裕之に語り、一方で世津は戦後は教師になり次世代を育てたいと願った。三人は未来への希望を抱いていた。
やがて広島に原爆が投下され、修たちは現場を視察、放射能の影響を調査した。修は、自らが開発した核兵器の威力に衝撃を受ける。裕之も特攻に参加することが決まり、長崎にも原爆が投下された。京都が次の標的になるのではないかという噂を聞いた修は、荒勝に比叡山から原爆の一部始終を見届けると宣言した。
戦後、荒勝らは「破壊は美しい」「科学は人間を超えていく」と発言した。純粋な核エネルギー研究を望んでいた修は、信じてきた科学への疑問を口にし、若かりし頃の三人の青春を思い出していた。
太陽の子《GIFT OF FIRE》の、観る前に知っておきたい基礎知識と見どころ|もしかしたら、サンフランシスコが広島長崎になっていたかも
日本も原爆を開発していた
結局、アメリカをはじめドイツもイギリスも日本も開発はしていたんです。
標的をサンフランシスコにしていたとかで、もしかしたらサンフランシスコが広島長崎になっていたかもしれない。
どこが最初に実用化して使用したか、というのは結果でしかないのだ。
核分裂の連鎖反応とは
天然ウランのうち、ウラン238は約99.3%。残りおよそ0.7%のウラン235の原子核は92個の陽子と143個の中性子からなる。そこに中性子が1個飛び込むと、力のバランスが壊れてしまう。ウラン235は破壊され、エネルギーが生まれる。このとき新たに中性子が飛び出す。中性子はまた別の原子核を破壊し連鎖していく。これが核分裂の連鎖反応。
悲劇の原因
「科学は人間を超えてゆく。それは誰にも止められない」
悲劇が起こる一番の原因は、人間の良心なんかでは抗うことのできない時代の流れなのでは、という気がします。
映画ラストの追悼メッセージ
映画の最後には追悼のメッセージが。
フードコーディネーターの宮田清美さんと三浦春馬くん。
劇中に登場する真っ白いおにぎり、めちゃくちゃうまそうでした。
あと科学者たちの実際の写真も、リアリティを感じましたよ。
太陽の子《GIFT OF FIRE》の、キャストと予告編|Cast and Trailer
◎1h51m (2021)
- 荒勝文策(京都帝国大学理学部教授。海軍から新型爆弾の開発を依頼され、チームを率いる):國村隼
- 木戸貴一(同大学理学部助教授で、研究の指揮をとる):三浦誠己
- 岡野真三(同助教授):宇野祥平
- 清田薫(研究室助手):尾上寛之
- 花岡喜一(京都帝国大学の学生):渡辺大知
- 堀田茂太郎(京都帝国大学の学生。なかなか結果が見えない研究に見切りをつけ、兵役に志願する):葉山奨之
- 村井正史(京都帝国大学の学生):奥野瑛太
- 石村修(京都帝国大学の学生、主人公。実験に熱中し過ぎるため「実験バカ」と呼ばれている):柳楽優弥
- 澤村(陶器屋「釜いそ」の主人で、陶器のうわぐすりに使っている硝酸ウランを研究チームに提供する):イッセー尾形
- 澤村はな(澤村の娘):土居志央梨
- 石村フミ(修の母):田中裕子
- 石村裕之(修の弟):三浦春馬
- 朝倉世津(修と裕之の幼馴染):有村架純