現在、不老不死の研究が進められているようですが、今のところ人間を含めた生き物は100%の確率で死にます。つまり最期の日は誰にでも来ます。そして、ほとんどの人間は死にたくないときに死ぬのです。
アンジェリーナ・ジョリーが演じる主人公のレニー・ギブソンは、テレビリポーターとしてはまずまずの成功者。しかし、自分の人生にはイマイチ満足していないというモヤモヤを抱えています。
ある日、彼女はホームレスの預言者から自分の死を予言されます。このできごとが自身の考え方を変えていき、彼女は徐々に自分自身とその人生に向き合っていきます。
ちなみに預言者というのは神の言葉を「預かる」者で、予言とは未来の物事を「予測」した発言のこと。まぎらわしい同音異義語なので注意しよう。
この映画は、人生の価値や幸せについて再考させてくれます。ただし、それぞれの人生のタイミングによっては刺さらない人もいるかもしれませんが。
ブロンド・ライフ《Life or Something Like It》の、あらすじ|幸せな人生に必要なもの
シアトルのテレビ局の売れっ子リポーターであるレイニー・ケリガンは、自称預言者のジャックに「本当にNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)シアトル・シーホークスの試合結果を予言できるのか」とインタビューをしていた。
ジャックは試合のスコアのほか、翌日に雹(ひょう)が降ることを予言し、さらにレイニーが7日後の木曜日に死ぬことも予言する。
2つの予言が的中するとレイニーはパニックになり、もう一度ジャックを試すため彼に会ってに別の予言を依頼。そこでジャックは「午前9時6分にサンフランシスコで比較的大きな地震が起きる」と告げ、それも的中した。レイニーは自分の死を確信し、自分の人生を見直すことになった。
レイニーはシアトル・マリナーズの有名選手である彼氏のカル・クーパーや、家族の中に慰めを見出そうとしたが、心を埋めることはできない。全米ネットのテレビに出演するという彼女の目標は、遠い夢のように見え始めた。
ところが、身近にいた意外な人物に支えを見いだすことになる。それは同僚であるカメラマンのピートであり、以前に一度セックスをしたことのある人物だった。彼は「人生の一瞬一瞬を精一杯生きろ、そしてずっとやりたかったことを何でもやれ」という人生へのアプローチを伝える。
その後レイニーとピート、そして現在は別れた妻と暮らしているピートの息子のトミーは、3人で丸一日を一緒に過ごした。
翌日、レイニーはニューヨークで念願の仕事を得た。彼女はピートに一緒に来てほしいと頼むが、ピートは「成功や名声への欲望は尽きないよ」と言って断る。寂しさを抱えながらも、レイニーはニューヨークへ旅立つ。
ピートはジャックに会って「レイニーは、ジャックが実現できないと予言していた仕事に就けた」ため、ジャックの予言は外れたと話す。しかしジャックは「レイニーは仕事が始まる前に死んでしまうため、その仕事に就くことは決してできないだろう」と説明する。
さらにジャックは、エンジェルスの有名選手が飛行機事故で死亡するという予言も付け加えた。予言どおりになった野球選手の訃報を聞くと、ピートは慌ててレイニーに警告するため電話をかける。しかし連絡が取れなかったため、たまらず彼はニューヨークへ飛ぶ。
レイニーはジャックの予言を気にせず、彼女の憧れだったメディアパーソナリティのデボラ・コナーズにインタビューをする。インタビュー中、レイニーは用意されたつまらない質問をすっ飛ばし、生放送にも関わらずアドリブでデボラの本音を引き出すことに成功。
最終的にデボラを怒らせはしたが、このインタビューでレイニーは高い評価を受ける。局はすぐに彼女に対し新しいポジションを提供しようとしたが、すでに自分がシアトルでピートとの生活を望んでいることに気づいたレイニーは、断るのだった。
彼女が局を出たとき、路上で警察官と揉み合っていた男が銃弾を発砲した。通りの反対側にいたピートは大声でレイニーを助けようとするが、彼女は撃たれてしまう。
ナレーションでレイニーは、自分にとって人生における本当の幸せを知らなかった自分が死んだのだ、と語った。
ブロンド・ライフ《Life or Something Like It》の知っておきたい基礎知識と見どころ|死生観を考える
マリナーズは、ワールドシリーズに出場したことのない唯一のチーム
「マリナーズは来年こそ優勝だ」というセリフがありますが、現実のシアトル・マリナーズも優勝決定戦であるワールドシリーズに一度も出場したことがないというMLB唯一のチームです。
なおワシントン・ナショナルズが2019年、テキサス・レンジャーズが2023年に優勝したことで、一度も優勝したことがないチームはミルウォーキー・ブルワーズ、サンディエゴ・パドレス、シアトル・マリナーズ、コロラド・ロッキーズ、タンパベイ・レイズの5チームになりました。
ちなみにセーフコ・フィールドは、1999年7月から、2019年からT-モバイルパークになりました。セーフコは保険会社、T-モバイルは携帯電話の会社です。
スターバックス発祥の地、シアトル
スターバックスコーヒー発祥の地、シアトルという街のシンボル[スペースニードル]の向こうに山々が見えますが、こういうのってビルの向こうに山が見える札幌っぽい。しかし札幌の姉妹都市は、シアトルから飛行機で約130マイルの距離にあるオレゴン州ポートランドです。
劇中で使われる音楽たち
レイニーが爆音で聴いていたSocial Distortion。日本ではそれほど人気出なかったイメージありますが、本国アメリカでは息の長い活躍をしています。
セリフの中に Limp Bizkit の Nookie が出てきて時代を感じた。
あと "better overall job satisfaction" からの (I can't get no) Stisfaction が熱いです。
死と向き合うことでわかること
マリナーズの彼、カル・クーパーとの破局のシーンで思いました、自分の死ぬ日がわかると、つまり自分の死ときちんと向き合うと、考え方はまるっきり変わるのだなぁ、と。
「精一杯生きる」って何すればいいんだろう、と疑問に思いますが、ほんとうの意味で死を意識したとき理解できるのかもしれません。
大事な人よりも仕事を選ぶ
二択を迫られたとき、仕事よりも身近な人を選ぶというのは、まぁいたって普通ですよね。
ただ、そんなとき仕事を選ぶ人だって、決して間違ってはいないと思います。
ブロンド・ライフ《Life or Something Like It》のキャストと予告編|Cast and Trailer
◎1h43m (2002)
- レイニー・ケリガン(主人公。シアトルのTVレポーターで、健康なのに一週間後に死ぬと予言を受ける):アンジェリーナ・ジョリー
- ジャック(預言者、レイニーの死を本人に告知する):トニー・シャルーブ
- カル・クーパー(シアトル・マリナーズの選手でレイニーの恋人):クリスチャン・ケイン
- ピート・スキャンロン(レイニーの同僚でカメラマン):エドワード・バーンズ
- トミー(ピートの息子):ジェシー・ジェームス・ラザフォード
- デボラ・コナーズ(有名なパーソナリティ):ストッカード・チャニング