イジメる(暴行する)方はイジメたことを忘れるが、イジメられた(暴行される)方は、そのことをいつまでも覚えている──有名な法則だと思いますが、この法則に名前はまだないんでしょうか。
いずれにせよ、この法則は個人だけでなく国なんかにも当てはまります。
まぁ、どの国にもあることではありますが、我が国を例に取ると東京大空襲や沖縄戦、広島長崎など被害者としてやられた事件については何度も繰り返し語られ、コンテンツ化もされています。
でも加害者として関わった皇民化教育やバンカ島事件、ダーウィン空襲、カラゴン村事件、バターン死の行進、九州大学生体解剖事件、マニラ大虐殺、731……などは前者にくらべると、ずっと知名度は低いですよね。
確かに経験していない世代にとって、責任を問われ続けるのは多少「しつけえな」と思わなくはないですが「知らない」で済ませちゃあいけませんね、人間として。
で、この映画は2名が拷問死した1942年の「朝鮮語学会事件」という史実をもとにしたフィクションです。
マルモイ ことばあつめ《말모이》の、あらすじ|統治する国で日本語を強制した大日本帝国
日本による朝鮮半島の統治は1910年から1945年までの35年間。はじめこそ、インフラ整備やら工業化による雇用創出やらで近代化を進めていたが、日本が米国と戦争を始めると半島の文化などへの弾圧が始まった。
朝鮮語の使用は規制され、日本語で会話させられ、名前も日本人のものに強制的に変えさせられたのだ。
1941年、現在のソウルである京城府で、映画館に勤めながらも子どもの生活や教育のためにと窃盗を繰り返していたキム・パンス。ある日、息子ドクジンの授業料を払うため鞄を盗んだことをきっかけに、ジョンファンと知り合う。
ジョンファンは、ドクジンの通う中学校の理事長を務める親日派の父を持つ裕福な家の人間ながら、朝鮮語学会の代表として民族の言語を守るために朝鮮語辞典を作ろうとしていた。
文字の読み書きもできなかったパンスは、辞典の編集を手伝う過程で母国の言葉を守る意義を知り、仲間たちと苦心し協力し合いながら各地の方言などを集めていく。
しかし、大日本帝国による朝鮮総督府の弾圧は、さらに激しさを増していった。
マルモイ ことばあつめ《말모이》の、観る前に知っておきたい知識と見どころ|欧米列国からアジアを守った??
ユ・ヘジンはハズレが無い
ユ・ヘジンが出ている作品でハズレってありましたっけ。いつもコミカルな演技が光る愛されキャラで、たぶん何観てもおもしろいです。日本でいうとこの、ツッコミ(イジられ)担当。
アジア圏同士は言語のリズムが似ている?
朝鮮総督府の日本の幹部役も韓国の俳優が演じてるということは、日本語ネイティブの自分が見れば一発でわかる。でもアジア圏同士は言語のリズムが似ているのか、西洋人のそれほどはイントネーションに違和感が少ないですね。
欧米列国の代わりにアジアを植民地にしようとした
時々この頃の日本の行動を「欧米列国からアジアを守った」なんていう人がいるけど、実際は日本語や天皇陛下万歳を強制したんだから「欧米列国の代わりにアジアを植民地にしようとした」が正しい。台湾やベトナム、マレーシア、インドネシアなどなど。
韓国なんて90年代末まで日本語のコンテンツが規制されていたくらいですからね。
ホットクは、流行りモノではなく伝統だった
ホットクがこんな時代からあったという衝撃。ぽっと出の新大久保系オシャレスイーツではなく、伝統菓子だったんですね。
なおタイトルの「マルモイ」とは、辞典(言葉集め)のことです。
マルモイ ことばあつめ《말모이》の、キャストと予告編|Cast and Trailer
◎2h15m (2020)
- キム・パンス(主人公。読み書きのできないお調子者の泥棒、のち朝鮮語学会の手伝い):ユ・ヘジン
- キム・ドクジン(パンスの優秀な息子):チョ・ヒョンド
- リュ・ジョンファン(朝鮮語学会代表、父は親日派):ユン・ゲサン