第二次世界大戦で、筆舌に尽くしがたいほど散々な目にあったユダヤ人のみなさん。
そんな彼らが建てたイスラエルという国が、今度は“2023年イスラエルvsハマス戦争”でアラブ人を殺しているという。
「人間てやつは、まったく…」という想いでこの映画を再見しました。
余計なお世話ですが、世界でそんなことが起こっているなかキャバクラでシャンパンをいれている我が国の成金たちにも、この映画を観て何かを感じていただきたいものです。
シンドラーのリスト《Schindler's List》の、あらすじ|ドイツが降伏する直前、彼の資金は尽きた
第二次世界大戦中、ドイツの占領下にあったポーランド。
そのポーランド南部の町クラクフでは、ナチが地元のポーランド系ユダヤ人を過密状態のクラクフ・ゲットーに追い込んでいた。
その町で、チェコスロバキア出身でドイツのナチ党員オスカー・シンドラーは、ビジネスを興し大金を稼ごうとしていた。
彼はドイツ国防軍(ヴェアマハト)とSS(親衛隊)幹部に賄賂を贈り、ホーロー製品を生産する工場を入手。
そして闇市場業者やユダヤ人ビジネスコミュニティに顔のきくユダヤ人役員のイツァーク・シュテルンを雇い管理を任せ、資金調達を手助けさせた。
シュテルンは、できるだけ多くのユダヤ人労働者をドイツの戦争に必要だと認定されるようにして、そのユダヤ人たちがSSによって強制収容所に送られ殺されるのを防ぐ。
その間に、シンドラーはナチ幹部たちとの友好関係を築き、実業家としての富と地位を楽しんでいた。
そんな中、SS少尉(第二中尉)のアーモン・ゲートがクラクフに到着、プワシュフ強制収容所(下の画像)の建設を監督した。
収容所が完成すると、彼はゲットーの清算を命令。
2,000人のユダヤ人がプワシュフ強制収容所に移送され、SSによって町なかで殺害された。
この虐殺を目撃したシンドラーは、深く衝撃を受ける。
また、アーモン・ゲートはユダヤ人メイドのヘレン・ヒルシュを虐待し、さらに邸宅のバルコニーからまるで暇つぶしのように無作為にユダヤ人たちを撃った。
そのような状況下、時間が経つにつれシンドラーの関心は金儲けからできるだけ多くの命を救うことへとシフトしていく。
彼は労働者たちをより多く保護するために、ゲートに賄賂を渡して工場にサブキャンプを建設する許可を得る。
ドイツが戦争に負け始めると、ゲートはプワシュフ強制収容所にいた残りのユダヤ人をアウシュビッツ強制収容所に送るよう、上から命じられる。
シンドラーはゲートに、自分の故郷チェコのブリュンリッツ(現:ブルニェネツ)に新しい弾薬工場を建設し、そこに労働者を移動させる許可を求めた。
ゲートはしぶしぶ同意するが、高額な賄賂を要求。
シンドラーとシュテルンはアウシュビッツではなくブリュンリッツに移送される人々のリストを作成する。
このリストは、最終的に1,100人になった。
列車でブリュンリッツに運ばれる際、ユダヤ人労働者の女性と少女たちは、誤ってアウシュビッツ=ビルケナウに送られてしまう。
それを聞いたシンドラーは、アウシュビッツの所長ルドルフ・ヘスに賄賂を渡して彼女たちを解放させる。
さらにシンドラーは、新しい工場ではSS警備員が許可なしに生産区域に入ることを禁止し、ユダヤ人たちに安息日を守ることを奨励した。
しかし次の7か月間で、彼はナチの役人に賄賂を渡したり他の会社から砲弾のケースを買い取るなどしたため、財産を使い果たしてしまった。
そして1945年、ドイツが降伏する直前、ついに彼の資金は尽きた。
ナチ党員でもあり戦争で利益を得た者として、シンドラーは進軍するソ連の赤軍から逃げなければならなかった。
工場のSS警備員は上からユダヤ人労働者を殺すよう命じられていたが、シンドラーは代表としての訓示でSSたちを思いとどまらせた。
労働者たちに別れを告げた後、彼は西へ向かいアメリカ軍に投降する。
ユダヤ人労働者たちは彼に感謝の証として、ユダヤ人たちの命を救ったことを証明する署名入りの声明と、タルムード(ユダヤ教の聖典)の引用「一人の命を救う者は、世界を救う」を刻んだ指輪を贈った。
シンドラーはもっと多くのことができたはずだと涙を流したが、労働者たちに慰められ、妻と共に車で去る。
ユダヤ人たちはその後、田園地帯へと歩き出した。
エピローグでは、ゲートが人道に対する罪で有罪判決を受け絞首刑に処されたこと、戦後にシンドラーの結婚と事業が失敗したことが明らかにされた。
現代のシーンでは、シンドラーによって生き残ることができた多くのユダヤ人と、彼らを演じた俳優たちがシンドラーの墓を訪れ、石を置いて敬意を表し(ユダヤの伝統的な尊敬のしるし)、最後にシンドラー役のリアム・ニーソンが二輪のバラを置いた。
シンドラーのリスト《Schindler's List》の、観る前に知っておきたい基礎知識と見どころ|赤いコートの少女の、現在
この映画、実話?
「実話に基づいて」います。
ドキュメンタリーでもない限り、基本的に映画は映画であり、エンタメのひとつ。
もちろん原作者であるトマス・キニーリーは、当時入手可能な資料や複数のホロコースト生存者へのインタビューを利用して書き上げましたが、あくまでこれは小説です。
しかしオスカー・シンドラーが自身の軍需工場で働かせることによって、およそ1200人のポーランド系ユダヤ人をホロコーストから救ったことは事実。
そしてスティーヴン・スピルバーグ監督の映画によって、その行動が広く知られるようになった。
それでいいと思います、誤解するような細かい演出があったとしても。
シンドラーのリストはなぜモノクロなのか?
- モノクロを使ってホロコースト時代のニュース映画や写真に似せることで、ドキュメンタリーのような効果を狙い歴史的信憑性を高めるため
- 黒と白で〈善と悪〉〈生と死〉などコントラストと二元性を強調できるため
- 色彩を除くことで、それぞれの場面をより強烈に、暴力をより不快なものにするため
- 白と黒の方が「テーマの重みと深刻さ」をよりよく表現できるため
- 赤いコートの女の子など一部に色を使うことで、物語内での重要性を強調することができるため
赤いコートの少女
“赤いコートの少女” を演じたのは、オリウィア・ダブロフスカ。
当時はまだ3歳でした。
短時間の登場でしたが、モノクロの映像に記された赤いコートはホロコーストの悲劇と幼い犠牲者の無邪気さを際立たせ、象徴的なシーンとして機能しています。
現在のオリウィア・ダブロフスカは、紛争地域から逃れてきた人々を支援する活動などを行うなどという、とんでもなく立派な人物になっていました。
シンドラーのリスト《Schindler's List》の、キャストと予告編|Cast and Trailer
◎3h15m (1993)
- オスカー・シンドラー(主人公。自分の経営する工場で多数のユダヤ人を雇い、救った):リーアム・ニーソン
- イツァーク・シュテルン(シンドラーの会社のユダヤ系ポーランド人会計士で、右腕的存在):ベン・キングズレー
- アーモン・ゲート(親衛隊将校、クラクフ・プワシュフ強制収容所の所長):レイフ・ファインズ
- ヘレン・ヒルシュ(クラクフ・プワシュフ強制収容所に収容されていたユダヤ人で、アーモン・ゲートのメイド。実在の人物):エンベス・デイヴィッツ
- ルドルフ・ヘス(親衛隊中佐、アウシュヴィッツ強制収容所の所長。カナ表記で同名のナチ党副総統とは別人である):ハンス・ミヒャエル・レーベルグ