好き嫌いが明確に分かれると巷で噂の、ウェス・アンダーソン監督の作品です。
ブダペストってハンガリーの首都ですけど、この作品は実際にブダペストにあったホテル『グランド・ホテル・ロイヤル・ブダペスト』からインスパイアされているんですよ。
ちなみに現在の名前は『コリンシア・グランド・ホテル・ロイヤル』。
グランド・ブダペスト・ホテル《The Grand Budapest Hotel》の、あらすじ|高級ホテルのカリスマコンシェルジュと若いベルボーイの友情と冒険
旧ズブロフカ国(中央〜東ヨーロッパにあったという架空の国)のとある墓地。そこに、ある著名な作家の墓を訪れる女性がいました。彼女が持っていた本は『グランド・ブダペスト・ホテル』。
1985年に書かれたこの本には “かつては豪華だったが、若き日の著者が訪れた1968年当時はすでに閑散としていた” このホテルで、彼が休暇を過ごした時のことが語られている。
作家はこのホテルで、オーナーであるゼロ・ムスタファと出会い、夕食をとりながら儲け話をした。
ゼロ・ムスタファは、ファシスト政権の戦争で家族を皆殺しにされ、母国から逃れてきた不法難民だった。1932年、彼はホテルのコンシェルジュムッシュー・グスタフ・Hの下で働く、ロビー・ボーイとして雇われる。
グスタフには長く付き合っている裕福な顧客たちが多くいたが、その中にホテルのオーナーであるマダム・セリーヌ・ヴィルヌーヴ・デゴーフ・アント・タクシ(通称マダムD)がいた。
マダムDは、最後にホテルを訪れた1ヵ月後に謎の死を遂げた。そのため彼女の屋敷で遺言状が読み上げられることになり、親戚たちに混じってグスタフとゼロも出席する。
そこでは彼女の代理人ヴィルモス・コヴァックスが、有名なルネサンス絵画『林檎を持った少年』をグスタフに遺贈すると発表。ところがマダムDの息子であるドミトリは、それを拒否する。
そこでグスタフとゼロは一緒に絵を持ち逃げし、グランド・ブダペスト・ホテルの金庫に隠した。
しかしその後マダムDの執事セルジュXの証言により、グスタフはマダムD殺害の容疑でアルフレッド・J・ヘンケルス警部に逮捕され、刑務所に送られる。
ある日、グスタフの同房者の1人ルートヴィヒが「刑務所内を調査したんだが、どうやら下水道を使って脱獄できそうだぞ」と仲間に教える。
親しくなったギャングたちから脱獄に参加するよう説得されたグスタフは、ゼロに頼んでパン屋で働くゼロの婚約者アガサが作った菓子の中に、ハンマー、ノミ、ノコギリの刃といった脱獄用の道具を隠してもらい、刑務所に持ち込ませた。
途中トラブルに遭って1人が犠牲になるが、残りの囚人たちは脱獄に成功。再会したゼロとグスタフは「十字の鍵の会」と呼ばれるコンシェルジュ友愛会の協力を得て、グスタフの無実を証明しようと動き出す。
執事セルジュXは「真犯人のドミトリからグスタフを巻き込むよう圧力をかけられた」「マダム・Dには第二の遺書があり、それは彼女が殺害された場合にのみ有効となるものであった」といった真実を暴露。ところが彼は、ドミトリに雇われた殺し屋ジョプリンに殺されてしまう。
証人を失ったグスタフとゼロもジョプリンに襲われかけるが、ゼロの活躍で反対にジョプリンを崖から突き落とすことに成功する。
グスタフ、ゼロ、アガサがホテルに戻ると、そこはドミトリによってファシスト(ズブロフスカ国の独裁政党)の本部にされていた。アガサは絵を取り戻そうと忍び込むがドミトリに見つかってしまい、助けに来たグスタフとゼロも加わってドミトリとズブロフスカ軍と銃撃戦になる。
そんな中、アガサは絵の裏側の奥にマダムDの2通目の遺書を発見。グスタフは再審で無罪となり、主犯のドミトリは国外に逃亡した。
その後、グスタフはズブロフスカ国で最も裕福な一人となり、ゼロとアガサは結婚する。しかし、ある日3人が列車での移動中、兵士たちがやってきてゼロの難民書類を破壊、グスタフは殺されてしまう。
グスタフの遺言により、ホテルと財産はゼロに遺贈された。ゼロは早くに幼い息子とアガサを亡くすが、家族を偲びながら衰退したグランド・ブダペスト・ホテルの経営を続けた。
グランド・ブダペスト・ホテル《The Grand Budapest Hotel》の、観る前に知っておきたい基礎知識と見どころ|絵画みたいな各シーン
贅沢に使われた有名俳優陣たち
刑務所の中のシーンでハーヴェイ・カイテルが出てきたのにはビックリ。ほかにもウィレム・デフォー、ジュード・ロウ、ビル・マーレイ、エドワード・ノートンとハリウッドに名だたるビッグネームが並んでいます。
ウェス・アンダーソン監督っぽい、絵としても見ることのできる映画
ホントに画がとにかくいい。ひとつひとつのシーンが絵画みたいで、すごくいい。一般人にとっては、写真の構図として参考になるんじゃないだろうか。私はなりました。あと、こういう類の映画は、後ろに映るエキストラ的な人物の計算された動きなんかを見るのも楽しいものです。
笑いの質について
登場する「笑い」は、半笑いになる感じのシュールなタイプのそれなので、理解できない人には理解できないかもしれませんね。
同じく脱獄系な映画にショーシャンクもありますが、こうも匂いが違うというのはストーリー以外の空気感が大切だということでしょう。
我が国における移民の話
そういえば我が国で移民に反対する人って、移民を全員不法滞在と考えてるんじゃないでしょうかね。移民と言っても不法滞在と優秀で語学に堪能な優秀な人材なら何も問題ないと思うんですが。難民は移民とまた違いますけど。
ナチっぽい制服
このファシストの軍隊、制服がナチっぽいし、たぶんモデルにしてますよね。ZZというマークがSS(ナチ党の親衛隊Schutzstaffel/ シュッツシュタッフェルの略)みたいだし。
グランド・ブダペスト・ホテル《The Grand Budapest Hotel》の、キャストと予告編|Cast and Trailer
◎1h40m (2014)
- ゼロ・ムスタファ(難民としてこの国に来た若いベルボーイ。後にホテルを継ぐ):トニー・レヴォロリ
- ムッシュー・グスタフ・H(ホテルのやり手コンシェルジュ。ゼロと友情が芽生える):レイフ・ファインズ
- マダムD(ホテルのオーナー。謎の死を遂げる):ティルダ・スウィントン
- ヴィルモス・コヴァックス(ホテルの弁護士):ジェフ・ゴールドブラム
- ドミトリ(マダムDの息子):エイドリアン・ブロディ
- アルフレッド・J・ヘンケルス警部(グスタフを逮捕した警部):エドワード・ノートン
- ルートヴィヒ(刑務所の同室の囚人):ハーヴェイ・カイテル
- アガサ(ゼロの婚約者、のちの妻):シアーシャ・ローナン
- セルジュX(マダムDの執事):マチュー・アマルリック
- ジョプリン(ドミトリの雇った殺し屋):ウィレム・デフォー