全方位を海水に包囲された島国(地政学でいうシーパワーの強い国ってやつですね)に住む人には、河川を他の国とシェアするなんてこともないため、なかなか理解しづらいのですが。
地球においては、20世紀は石油を巡ってケンカが勃発、一方21世紀では水を巡って争いが起きています。
若い頃「電気ガス水道という生活インフラの料金を払わなかった場合どれが最初に止められるか」という人の道に外れた実験をやむを得ず行なったことがあるのですが、結果、最後に止められるのが水道でした。
水が無いと頭や体を洗えず、便を便器に溜めておかざるを得ず、お茶を煮出すこともカップ麺を作ることもできず、最終的には命を落とすことにもつながります。
「水」って、我ら人間にとって人種や性別を問わず、とても大切で大変貴重でありがたいものなんです。
ちなみに主演のヘイリー・ルー・リチャードソン(ケンダル)は、モダニズム建築が美しい映画「コロンバス」のケイシーです。
ラスト・サバイバーズ《The Last Survivors》の、あらすじ|乾燥した荒野における、水を巡る争い
雨が降らなくなって10年が経ち、オレゴン州は乾燥した荒れ地になった。生存者たちは生き延びるための水を確保しながら、その少ない水を独占しようとする敵から逃れ続けていた。
主人公のケンダルは、同じ孤児で現在は腎不全により瀕死の状態にあるディーンの世話をしている。近くの農場に住む友人のガブリエルは、一緒にその地を出ていこうとケンダルを誘うが、彼女はディーンを見捨てようとはしない。
ある日、無線で助けを求める声を聞いたケンダルは、その人間を助けるためにその場を離れてしまう。しかし後に、それが隣人の家族を陥れる罠であることに気づく。
結局、その家族を救うことはできなかった。襲撃者たちが家族を殺していくのを隠れて見ていることしかできず、暗闇の中をこっそり家に戻る。
ディーンは井戸が枯渇していくのを見て、地元の軍閥カーソンが帯水層を掘削し、皆の水源を奪っていると推理する。カーソンは小さな屋敷を所有しており、そこを安全な避難所として公表している。
ケンダルの隣人グレースは、ディーンを助けられる薬をカーソンが持っているという話を信じ、自分とガブリエルと一緒に行こうとケンダルを誘う。
到着すると、カーソンは突然ガブリエルの家族を皆殺しにした。
ガブリエル以外は年寄りか病弱で、限られた水の量では救えないと言うのだ。ガブリエルは怯えながらも渋々同意し、同じく隠れていた親戚を差し出す。しかしケンダルは、敵の歩哨を殺して逃亡する。
ケンダルは一人暮らしの少年アルビーを見舞い、ディーンとセスナ機で脱出する計画を話す。しかしアルビーは、自分ひとりで生きていく方がいいと言い、さらにカーソンに見つかるとマズいからあまり頻繁に会いに来ないでくれと頼む。
ケンダルは、カーソンの屋敷にあった車からセスナを動かすのに必要なディストリビューター・キャップを回収し、再び家に戻る。だが、そこには見知らぬ3人の生存者が水を求めて敷地内に迷い込んでいた。
ディーンはケンダルに、彼らへ水を分けてあげるよう提言するが、ケンダルは彼らの雰囲気に疑念を抱く。
実際にケンダルの心配は的中し、彼らは残りの水を奪おうとしてきた。かろうじて歩けるようになったディーンは、ケンダルを守り彼らを撃ち殺した。
地元の農場を調査していたカーソンは、その銃声を聞いてやってきた。そのカーソンの部下を、ディーンは数人返り討ちにし殺す。
ケンダルは再びカーソンの手下から身を隠しながら、グレースの農場の墓にあった日本刀を取り出してその場を逃走し、家に戻って家宅捜索のために残された男たちを殺害した。
セスナで一緒に脱出しようと改めてケンダルがアルビーを迎えに行くと、アルビーはカーソンに誘拐されていた。
キレたケンダルはカーソンの屋敷を襲撃し、子分を皆殺しにする。最後はケンダル、カーソン、カーソンの娘、アルビーが残り、ケンダルは日本刀でカーソンを殺す。さらにカーソンの娘ブルックは、ケンダルの首を絞めて落としかけるが、ケンダルは寸前に抜け出して剣でブルックを刺す。
彼女とアルビーはセスナ機に向かい、ディストリビューター・キャップを差し込んでエンジンをかけた。
ラスト・サバイバーズ《The Last Survivors》の見どころ|極限の状況では、生きるために他人を殺す
あまりにも乾燥し過ぎると、枯れ葉が風でこすれあっただけで火がつく
ここ数年、実際にアメリカ・カリフォルニアでは熱波と乾燥でやたら山火事が起こっていますよね。あれ乾燥し過ぎた結果、枯れ葉が風でこすれあっただけで火がつくらしいです。
この作品の舞台になったオレゴンなんざ、カリフォルニアと隣接してすぐ北部にあるので、現実に起こるか起こらないかで言ったら可能性はないわけではない。
全体的に黄色っぽい画面が渇きを想起させてくれます。
日本刀、最強説
こんな荒廃した土地で、食い物なんかないだろうし実際に食事のシーンもない。瓶に入った鮮度の高いフルーツ(?)のようなものに一度かぶりついたくらい。
さらに17歳少女の射撃の腕が達人すぎるし、その上セスナなんかも操縦できるのかよ、と気になるところはありますが、これは映画なので何とでもなるのです。
舞台は荒野と廃屋ばかりで出演者も少ないという低予算で頑張った映画。細かいこと気にしないで、純粋にアクションを楽しむのが大人のたしなみでしょう。
あとアメリカの映像作品には、パルプフィクションのブッチ・クーリッジ(ブルース・ウィリス)やウォーキング・デッドのミショーン(ダナイ・グリラ)など、日本刀を印象的に使うキャラがちょいちょい出てきますよね。
生きるために、殺す
この映画、ものすごく簡単にいうと「水を巡る争い」。
地球上の生き物にとって食べるという行為は、イコール「命を奪う」ということで、極限の状況においては生きるために他人を殺すのは避けられないものなのかもしれません。極限の状況に出会ったことがないので、想像ですが。
でも、人はオイル溜まりに飛び込んで顔から足までネチョネチョになってまで生きたいと思うものなのでしょうか。
決勝は、ステゴロ
決勝戦はよくあるパターンではありますが、共に大事な人を殺されたもの同士のステゴロ(素手での戦い)による対決です。
ラスト・サバイバーズ《The Last Survivors》のキャストと予告編|Cast and Trailer
◎1h35m (2014)
- ケンダル(ヒロイン):ヘイリー・ルー・リチャードソン
- ディーン(病に苦しむケンダルの仲間):ブーブー・スチュワート
- カーソン(悪党のボス):ジョン・グリース
- ブルック(カーソンの娘):ニコール・フォックス